黒部峡谷は、立山連峰と後立山連峰の間を流れる黒部川が、長い年月を掛けて刻み込んだ、日本でもっとも深く、もっとも大きな峡谷です。
一帯は古くから人が踏み入るのを拒む秘境であり、江戸時代でも加賀藩が国境警備と森林管理のために立ち入りを禁じ、黒部奥山廻り御用の役人が見回っていたに過ぎませんでした。明治時代になると一般に開放され、人の出入りは増えました。
黒部峡谷では、大正時代から本格的な電源開発が始まりました。電源開発のための工事は過酷を極め、大洪水や大雪崩などの自然災害に阻まれながら、黒部川をさかのぼっていくつもの発電所が建設されていきました。
この時の黒部川水系の発電所建設のための資材運搬用鉄道として、宇奈月~欅平間の軌道敷設工事が行われました。
昭和に入ってからは年ごとに観光のお客様も増え、鉄道の営業内容も電源開発の資材、人員輸送主体から旅客輸送へと移行していきました。現在は、黒部峡谷鉄道株式会社が営業運転を行っており、トロッコ電車の愛称で親しまれております。
トロッコ電車からは、宇奈月ダムやうなづき湖と湖面橋、ヨーロッパの古城を思わせる新柳河原発電所、黒部川第二発電所など、さまざまな景観を楽しむことができます。
鐘釣駅には、万年雪を見られることのある黒部万年雪展望台や、河原露天風呂があり、多くのお客様で賑わっております。
欅平駅では、欅平駅屋上展望台や河原展望台、猿飛峡などから黒部峡谷の景観を楽しむことができます。欅平ビジターセンターでは黒部峡谷の自然や開発の歴史を紹介しており、休憩も可能です。
気候の良いこの季節に、黒部峡谷の自然と電源開発の歴史を感じる旅に出かけてみませんか。
トロッコ電車は2019年4月20日(土)から宇奈月―笹平間、2019年4月29日(月)から宇奈月―欅平間の営業となっております。
なお、行楽シーズンには、宇奈月周辺が混雑しますので、宇奈月への移動には富山地方鉄道のご利用をお勧めします。
また、黒部峡谷周辺は足元の良くない場所も多いので、天候や周囲の状況にご注意下さい。